← わたくし、今日からお嬢様になりますわ!~お嬢様に憧れて何が悪いんですの?~(第一部完結)

第34話

秘密のおやつですわ!

本文フォント
文字サイズ

 午後三時。

 わたくしは、誰もいない台所へ忍び込みました。

 棚の奥から、小さな箱を取り出します。

 限定販売のチョコレート。

 小春には、皆で分けるよう言われています。

 ですが、一粒くらい問題ありませんわ。

「何をしていますの?」

「ひゃあっ!?」

 振り返ると、アリサさんが立っていました。

「どうしてここにいますの!?」

「小春さんに、紅茶を頼まれて」

 アリサさんの視線が箱へ落ちます。

「それ、限定品ですわね」

「違いますの」

「箱に書いてありますわ」

「見間違いですの」

「一粒いただいても?」

「なりませんわ!」

「皆で分けるものではなくて?」

「これは、わたくしの非常食ですの!」

 アリサさんが、じっとこちらを見ます。

「……一粒だけですわよ」

「二粒ですの」

「一粒ですわ」

「では、小春さんを呼びますの」

「二粒で手を打ちますわ!」

 交渉成立。

 二人で台所の隅へ座り、こっそり箱を開けました。

「美味しいですわね」

「静かになさい。見つかりますの」

「お嬢様」

 背後から、小春の声がしました。

 二人同時に固まります。

「何を食べています?」

「非常食の鮮度確認ですわ」

「二人で?」

「共同点検ですの!」

 小春は箱を取り上げました。

「残りは皆で分けますからね」

「はいですわ……」

 共犯者になると、二人そろって立場が弱くなりますの。