← わたくし、今日からお嬢様になりますわ!~お嬢様に憧れて何が悪いんですの?~(第一部完結)
第48話
買い物袋は持ちませんわ!
「本日は、街へ買い物に参りますわ!」
わたくしは小春を連れ、商店街へやって来ました。
目的は、屋敷で使う日用品の購入です。
「本当に必要な物だけ買ってくださいね」
「分かっていますわ!」
洗剤。
蝋燭。
茶葉。
保存食。
最初は順調でした。
ですが、店先に並ぶ品々を見ているうちに、予定になかった物も欲しくなってきます。
「この花瓶、屋敷に合いそうですわ」
「お屋敷にこれと似た物があります」
「こちらの燭台も必要ですの」
「昨日も同じものを買いましたよ」
「このクッションは?」
「お嬢様、クッションはもうすでにお持ちですよね?」
「小春は、何でも否定しますのね!」
「必要な物だけと言ったのはお嬢様です」
結局、花瓶と燭台とクッションを買いました。
さらに菓子。
おしゃれなフレーバーティー。
飾り皿。
ノア用の大きな玩具。
シロ用のベッド。
両手いっぱいになった小春が、こちらを見ます。
「お嬢様も持ってください」
「わたくしが?」
「はい」
「お嬢様は、買い物袋を持たないものですわ!」
「では、これ以上は買えません」
「それとこれとは別でしょう!?」
次の店へ行こうとしても、小春は動きません。
「もう持てません」
「橘を呼びなさい」
「屋敷にいます」
「車を出してもらえばよろしいでしょう?」
「歩いて行くと言ったのはお嬢様ですが」
すべて、わたくしが決めたことでした。
仕方なく、小さな袋を1つ受け取ります。
「これだけですの?」
「では、こちらも」
さらに2つ。
「重いですわ!」
「まだ軽い方です」
帰り道。
小春は大きな袋を4つ。
わたくしは小さな袋を3つ。
腕が痛くなってきました。
「少し休みませんこと?」
「わかりました」
道路脇のベンチへ座り、袋を足元へ置きました。
「……小春」
「何ですか?」
「いつも、これを一人で持っていましたの?」
「だいたいは」
思っていたより大変です。
わたくしは、自分の袋を見下ろしました。
「次からは、買う量を少し考えますわ」
「本当ですか?」
「少しですの!」
屋敷へ戻ったあと。
買ってきたシロ用のベッドは、一度も使われませんでした。
代わりに、入っていた紙袋の中で眠っていましたわ。